みんなで食べるインドネシア風照り焼きと多文化共生~誰もが未来に夢と希望を輝かせられる多文化共生社会をめざして 特定非営利活動法人スポイの会「ほほえみ食堂アジアン」での取り組みから〜
スポイの会は、インドネシア人を中心とした外国人労働者などが地域に溶け込んで生き生きと生活できる社会を目指して、2021年から活動を始めました。会の中心になられているのは、池田市内の特別養護老人ホーム「ほほえみの園」の施設長を務める山田さん。施設では外国人介護職員を受け入れており、職場だけでなく近隣住民とつながり、交流する場として、地域を巻き込んだ活動に取り組んでいます。
これまで、積極的に市内で行われるイベントに参加してインドネシアの伝統芸能を披露したり、雑貨販売を行い市民の方々にインドネシアの文化を知ってもらう機会を作ってきました。外国人介護士や日本語学習を必要とする人を対象とした学習支援も熱心です。市内の日本語ボランティア団体の助けを借りて保健福祉総合センターなどを会場に、日本語教室を随時開いています。
月に一回開催している「ほほえみ食堂アジアン」は、地域、多世代・多文化交流を目的としたイベントです。こちらはほほえみの園で行われていた子ども食堂や男の介護教室を手伝われていた「いけだ地域栄養士会 葉菜(はな)の会(以下、葉菜の会)」や「えがおの会」などがボランティア協力しています。また、地域の障がい者施設での出張食堂の開催依頼があり2024年8月に実施し、好評だったため、多文化共生を目指す取り組みの一つとして交流を続けるそうです。食堂の資金としては2023年、2024年と2年続けて採択されたキリン福祉財団の助成金を活用しています。
2024年6月には初めての「外国人介護交流会」を開催されました。参加者は62名(うちスタッフ20名)と予想以上の集まりとなり、引き続き開催される予定です。
会の様々な活動には、多様な人、団体とのつながりが生かされています。それらは、山田さんの強い想いに共感した人たちです。「ほほえみ食堂アジアン」を運営するためのコーディネーターの役目を担う方や、実際に調理を担当してくれる「葉菜の会」などのようなボランティアの方々、食材を提供してくれるアジアン食材店、開催の場の提供者、社協など幅広い範囲での人脈がつながっています。
「ほほえみ食堂アジアン」でのヒアリング
本プロジェクトで伴走支援を行うにあたり、ちょうど「ほほえみ食堂アジアン」が開催されるということで、活動場所の見学を兼ねてお話を伺うことになりました。池田市保健福祉総合センターの1階のテーブル席では数人の外国人と日本人が日本語学習を行っていて、その様子を横目で見ながら会場へ向かいました。
会場の調理室ではボランティアの方たちが、日本とインドネシアの二種類の鶏の照り焼きにそれぞれ小さな国旗をつけて盛り付けておられました。その日は世界食料デーにちなんだ「おにぎりアクション」でラップに包んだご飯をみんなで握って食べる、という企画も開催されていました。以前、調理室の隣の多目的室を使ってインドネシアの楽器演奏をやったときには40名ほど集まったそうですが、その日の参加者は15人ほど。外国人を含む家族連れが3組。そして、1階で日本語学習していた外国人や日本語教師・ボランティアの6人が、地域からの参加者男性を囲んで和気あいあいと会話をしながら食事をしています。
料理をいただいていると、山田さんが次々と活動を手伝っている方を連れてきてくださいました。まず「えがおの会」の西井さん。スポイの会の広報やボランティアコーディネーターとしての役割を担っておられ、山田さんにずっと協力して出張食堂などにも対応されてきたとか。さらに池田市社会福祉協議会元職員の中西さん、彼女もコロナ禍でも一緒に山田さんに協力されてきたとのことです。そして、1階で日本語学習をしていた外国人の皆さん。「この食堂で出会ういろんな人との出会いが日本語の上達になるし、山田さんが声掛けをして市のイベントのファッションショーにも参加したこともあり、この場は楽しい」と話してくれました。また、「葉菜の会」の方がインドネシアの調味料を持ってきて説明してくださり、知らない国の料理を作ることになった今までの苦労話を聞かせてくださいました。模索しながらインドネシア料理と日本食を取り入れたメニューを研究されており、今ではインドネシア人の参加者に「故郷の味!」とお墨付きをもらうほど好評だそうです。
山田さんは皆さんを紹介してくださる度に「この人、すごいんですよ」とおっしゃるのですが、私たちにすれば「できない」と言わずやり遂げる協力者を集める山田さんも相当すごい!と思ってしまいました。活動のお手伝いもする気で行ったヒアリングでしたが、おいしい料理と熱い話に圧倒された時間でした。


北摂ともにプロジェクトメンバーの想い
現在、地域の貴重な働き手である外国人労働者やその家族は増加傾向にあり、孤独・孤立への対応は池田市に限らず、日本全体の課題でもあります。今回、スポイの会を伴走支援先に推薦したのは池田市立市民活動交流センターの指定管理者であるNPO法人トアエルでした。そこには、職場の身近なところから支援の必要性を感じて動きだしたスポイの会には、市域外の同様の活動をする人たちと幅広く情報交換するきっかけになれば、との想いがありました。実際に、2024年11月に摂津市で開催された「せっつ居場所サミット」では、事業所が取り組む地域貢献の事例として発表され、その機会は増えつつあります。
外国人介護士の支援から始められたスポイの会ですが、様々な方々の協力を得て、子どもから高齢者、地域住民と介護士以外も含めた外国人の交流機会を提供しています。キーパーソンである山田さんたちがどのように理解を得て協力者を増やしておられるのか、私たちも学び各地域へ持ち帰れたらと強く感じました。また、今後の活動にどのようなビジョンを描いておられるのかをお聞きし、その実現に向けて我々も共に出来ることは何かを考えていきたいと思います。
(スポイの会伴走チーム|高槻市市民公益活動サポートセンター 坂口 美知枝)