団体の魅力に目を向けることで見えてきたこと
孤独・孤立の問題を解消するためには、「孤独や孤立によって困難な状況にある人へ支援やサービスを提供すること」、「ボランティア参加などを通じて、人がつながりを感じられる『居場所』としての役割を果たすこと」がNPOには期待されています。この調査では、2つ目に焦点を当て、「居場所」や「つながりづくり」を主目的としないNPOの活動が、緩やかなつながりをつくり、意図せず居場所となっていると思われる事例を対象に調査を行いました。
また、「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和6年実施)」から、20~30代が他の年代と比べて孤独感を感じている割合が高いことが分かっています。そのため今回は、20~30代が中心となっている団体を対象に調査しています。
ヒアリングを行ったのは、以下の3団体です。
視点を変えることで見えてきた団体の強み
各団体のヒアリングを終えた後、活動の良さや特徴を整理するワークショップを実施しました。今回のワークショップで特に印象的だったのは、「課題」ではなく「良さ」に目を向けることの大切さです。普段、センターで相談を受ける際は、どうしても課題に意識が向きがちです。 例えば、「いつでも参加OK」「参加方法も自由」といった特徴は、一見すると「ゆるすぎて活動が成り立つのか」と捉えられるかもしれません。しかし実際には、その“ゆるさ”が、それぞれの関わりたい度合いや都合に合わせた参加を可能にし、結果として参加のハードルを下げることにつながっています。このように、団体の良さや特徴を見ていくことで、「この団体をどう応援できるか」という視点が生まれるのではないかと思いました。
また、3つの団体を比較する中で、いくつかの共通点も見えてきました。
- 参加のハードルを下げる工夫をしている
- 役割分担やアイデア出しにメンバーが関わっている
- 技術の向上だけでなく、「みんなで楽しむこと」を大切にしている
分野は異なっていても、こうした要素は人が継続して参加しようと思える理由となり、結果として「居場所」に繋がっていることが分かりました。
活動する人の背景や思いを聞くことで
私は「プロムナードウインドオーケストラ」のヒアリングを担当しました。 団体とは昨年から面識があり、市民公益活動促進補助金の交付団体として、これまでに2回お話を伺ったことがあります。その際から、役割を分担しながら運営している点や参加型の演奏会など、団体の良さだと感じる点はいくつかありました。
今回のヒアリングはチームとして取り組み、別のスタッフが進行役だったため、私は質問の内容や進め方に注目しながら参加しました。 その中で印象的だったのは、「いつから始めたのか?」「何がきっかけか?」といった具体的に質問していくことで、活動の背景や個人の思いまで引き出していた点です。
例えば、活動の工夫についても、団体としての取り組みだけでなく、個人の経験やきっかけにさかのぼって聞くことで、「なぜその工夫が生まれたのか」という理由まで見えてきました。その結果、団体の良さがより立体的に見えるようになったと感じています。もともと良さを知っていた団体でしたが、ヒアリングを通して、その背景にある考え方を知ることができ、より魅力的に感じられるようになりました。
普段、吹田市立市民公益活動センターで業務を行う中で、相談対応や取材などで団体の方からお話を聞く場面があります。「具体的に質問する」「相手の話を受けて、さらに深掘りする質問を投げかけてみる」ことの必要性は分かっていても、十分にできていない場面が多いと感じています。一方で、そうした問いかけをすることで、相手が話しやすくなり、背景や意図まで引き出せることを改めて実感しました。個人の経験やきっかけなどを時系列で尋ねながら、団体をより深く理解できるよう、普段の業務でも意識していきたいと思います。
(つながりづくり実態調査チーム|NPO法人市民ネットすいた 芝 颯香)
