やさしい日本語から学ぶ、公共施設でのコミュニケーション

茨木市の文化・子育て複合施設「おにクル」にて、新居みどりさん(NPO法人CINGA)を講師に迎え、公共施設にたずさわる30名と研修講座を行いました。窓口や相談業務を通じて来館者と日々向き合う私たちにとって、伝え方はいつも悩むテーマです。私たち企画チームが講座を企画するにあたり、公共施設は単なる建物ではなく、地域の人々をつなぐ器のような存在になれるのではないかと考えました。そこで施設スタッフとして何ができるのかを探るため、今回は「やさしい日本語」を切り口に、日頃のコミュニケーションを見つめ直す場を作ることにしました。

現場のリアルな困りごとから、伝え方を考え直す

「やさしい日本語」とは、子ども・高齢者・外国人・障害のある人にも伝わりやすい、簡単で丁寧な日本語のことです。

「この講座を受けたあと、自分の目で施設を見たとき、隠れていた壁がいくつかあることに気づくはず。その壁は簡単に越えられる。」そんな力強い言葉で講座は始まりました。単に「やさしい日本語」についての知識を学ぶだけでなく、頭をフル回転させる実践ワークが次々と続いていきます。実際の施設の掲示物や窓口でのやりとりを例題に、図書館、福祉、子育て、行政など、さまざまな現場から集まった参加者がグループになり「私ならこう言う」「これだと伝わりにくいかも」とそれぞれの視点で意見を交わしていきました。

印象的だったのは、参加者から出た「やさしい話し方は心掛けていたけれど、やさしい表現はできていなかった」という声。子どもに話しかけるような対応になってしまったり、英語が話せなくて諦めたりといった経験に対し、新居さんは「大事なのは、相手に伝わるように自分の中で情報を整理しようとする姿勢そのもの」と話してくださいました。

大切なのは、目の前の相手に伝えたい気持ち

企画チームで考えた講座のキャッチコピーは「学んで、すぐに使いたくなる!」。アンケートでは「すぐに掲示物を見直したい」「『です・ます』での表現を意識する」といった具体的なアクションが多く寄せられました。「やさしい日本語にガイドラインはあるけれど、表現に正解はない。目の前の相手に応えたいという気持ちこそが、みんなにとっての『ユニバーサル』になる」という新居さんの言葉は、完璧な表現をイメージしていた私たちの肩の力をふっと抜いてくれました。

この日を迎えるまでに、チームメンバーがさまざまな施設に立ち寄り参加を呼びかけるなかで、現場が抱える公共施設への想いを聞き取る機会も得ることができました。

今回学んだことをそれぞれの現場へ持ち帰ってもらい、話し言葉や書き言葉、そしてスマホなどのデジタルツールも賢く活用しながら、一人で悩まず、職員同士や来館者も含めて、よりよい施設を育てていけるよう試行錯誤していく。そのアクションが、誰もが安心して過ごせる器として施設を育む一歩になればと願っています。

(講座企画チーム 田中尚子|NPO法人トアエル

当日の講座の様子