医療人と市民でがんに関わる人を支えたい~一般社団法人I FOR YOU Japan

医療現場でがんの症状を少しでも和らげたり、その人らしい最期を迎えられるような緩和ケアを行いながら、市民活動という側面でも患者や家族と日々向き合っておられるのが、一般社団法人I FOR YOU Japan代表の森さん。信頼できるメンバーや協力者とともに「地域で支える丸ごと共生社会」をめざし、箕面を中心とした3市6会場でがん患者や家族、遺族に寄り添う語らいの場「がんサロン」を開催しています。北摂プロジェクトでの伴走支援は昨年度に引き続き2年目となります。

困り事の中にある「根本の課題」を見抜く難しさ

ヒアリングで代表の森さんから出た課題は「広報」「理念を伝えられる人材を増やしたい」というものでした。「役割分担したくてもメンバーへの負担を考えると遠慮の気持ちが拭えない」と心のうちも吐露されましたが、私達中間支援のチームですらも日々の業務や他市センターとの物理的・心理的距離などから同じ悩みを持っているのが現実です。そんな私達が団体の課題をどのように解決していくかを考えるなかで、団体の困りごとの中にある根本の課題を見抜く能力とヒアリングの難しさ、チーム内の情報共有・役割分担について、支援チーム自らが課題に直面することとなりました。

コアメンバーを交えたヒアリングの場で、運営メンバーは活動理念への強い共感をモチベーションに、広報・サロン運営・資金関係それぞれの分野で「今の私にできることを」と積極的に役割分担をされており、森さんもまた大きな信頼を寄せていることが伝わってきました。代表が安心して仲間に役割を任せることができるということは、メンバー間で理念がしっかりと浸透している証ではないでしょうか。

社会課題に県境はない

また、ヒアリングの中で交流の場がほしいという森さんの願いを受け、伴走チームを超え地元箕面のセンタースタッフの協力のもと、みのお市民活動センター主催の団体交流会を通じて地域に根ざしたネットワークを広げることができました。

プロジェクト支援チームとしては直接的に団体の課題解決になるような行動に結びつけることができなかったことが大きな反省点ですが、「社会課題に県境はない」と北摂プロジェクトに対し協力と信頼をいただけたことは、これまでに関係性を積み重ねてきた成果であると感じています。またプロジェクト期間中に、かねてより事業拡大を見据えて着手中であった一般社団法人格を取得されるなど、昨年度よりも着実に団体基盤を強化しておられました。

癒しの場を丁寧に広げる

「医療人と市民でがんに関わる人を支えたい」と、サロンを花壇に見立て、場に水をあげ大切に育み、がんで不安に押しつぶされそうな方のため癒しの場を丁寧に広めていきたいという、代表 森さんの長年変わらぬ思い。そこに共感し集まったI FOR YOU Japanメンバーのチームワークに、私達は非常に感銘を受けました。

実は支援チームメンバーの共通点は「身近な人をがんで亡くしている」ということ。誰もが当事者になりうる「がん」をきっかけに、団体の理念が今後さらに必要な人に届くことを祈りつつ、中間支援組織としても仲間を信頼しあい社会課題の解決に取り組む組織の在り方に、ともに悩みながら多くを学ばせていただく機会となりました。

I FOR YOU Japan伴走チームメンバー:田中尚子(NPO法人トアエル

森さんのヒアリングの様子